「・・・そうだったのか。わかった。父上には、俺が話しておく。二人は先に部屋に」

「それなんだが、俺も花音も身一つで出てきたからな。街に下りて、必要なものを買いたい」

「じゃあ、行ってこいよ。部屋の準備はしておく」


そう言った火焔に頷くと、花音は風夜と共に街に下りた。


火焔と別れ、城下町へ下りた花音はその賑やかな街並みを見て、風の国の城下町を思い出していた。

花音が見た街の人達は、誰もが幸せそうに笑っている。


「この人達はまだ風の国のことを知らないのかな?」

「火焔達が混乱を避ける為、黙っているんだろ」


花音の呟きに風夜がそう返してくる。


「といっても、時間の問題なんだろうけどな」


それを聞きながら、笑っている人々を見る。

風の国のことを思うと、それを知られていないことが少し哀しかった。