「さあ、此処だ。・・・俺は部屋にいるから、話が終わったら呼んでくれ」


雷牙の案内で城の謁見の間前に来た所で、彼は立ち去っていく。


「えっ?雷牙くん!?」


止めようと花音は声を上げたが、風夜と夜天は構わず謁見の間に入って行ってしまい、花音も慌てて彼等を追いかけ中に入った。

「ところで雷牙の奴も相変わらずのようですね」


話が一段落したところで、風夜がそう口を開く。

それを聞いて目の前の王と王妃が表情を曇らせた。


「ああ。・・・あれから十年間、ずっとな」

「私達は〈本当〉の息子だと思っているのだけど」

「・・・どういうことだ?」


王妃の言葉に違和感を感じたらしい光輝が問い掛けると、王が答えた。


「私達と雷牙に血の繋がりはない。・・・雷牙は城の前に捨てられていた子なのだ」

「「!?」」


それを聞いて花音と光輝は目を見開く。

しかし風夜と夜天は知っていたようで、特に驚いている様子はなかった。


「雷牙くんが捨て子!?」

「ああ。兵士が見付けて保護したんだ。それから両親を探したが、見付からなかった」

「だから、私達は子供もいなかったし、私達の子として育てることにしたの。雷牙も幼い頃は私達のこと、本当の両親だと思ってくれてたんだけど」


そう言って王妃は複雑そうに笑っていた。