「あれ?あとの二人は?」


少し大きめの荷物を持った夜天が部屋の中に花音と光輝の姿しかないのを見て訊ねてくる。


「火焔くんはちょっと一人にしてくれって。風夜もそんな感じだよ」

「そうか」

「それより、もう行くのか?」


夜天の荷物を見て光輝が聞くと夜天は頷き、花音に説明するように口を開いた。


「ああ。この国の宝珠は迷いの森って呼ばれてる森にあるんだ。宝珠のある場所までの道が複雑で、視界も悪い。順調にいっても往復三日はかかる」

「そ、そうなの?」

「そう。だから、風夜達にもきちんと説明してから行きたかったんだけどな」


そう言い、夜天は溜め息をつく。

そこで不意に光輝がそれまで座っていた椅子から立ち上がった。


「夜天」

「ん?」

「姉上のことを頼む」


そう言い頭を下げた光輝に夜天は笑みを浮かべた。


「わかってるよ。・・・さぁ、出発しよう」

「うん。・・・光輝、私と夜天くんがいない間、風夜達と喧嘩したら駄目だよ」

「わ、わかってるよ。姉上」


光輝が答えるのを聞いて、花音は笑みを浮かべた。


「じゃあ、行ってくるね」

「二人共、気をつけてな」


そう光輝に見送られ、二人は迷いの森へ出発した。