私の家族は幸せだったはずだ。

母も私にたくさんの愛を注いでくれていたはず

みんな笑っていたはず…

あの父が死んだあの日を迎えるまでは…



……

6年前



私はこの日10才になった。



『今日は悸依の誕生日だからプレゼントもらえるんでしょ?!』



『そうだぞー今日は悸依の誕生日だからな好きなものを買ってあげるよ』


『やったー!パパ大好きー』


『えーパパだけー?ままはー?』


『ママも大好きだよー!!』



そして三人で笑いあった。


父と母は優しい性格で誰からもすかれる人で、私はこのふたりが大好きだった。



『あのくまさん可愛いー!』


私は信号が赤だと言うのに道路を渡っていた

反対からはトラックがもうスピードでこちらに向かってくる。


『あ!!悸依』


『きゃっ!!悸依戻りなさい!』




『え?』



ドン



父が私の背中を押した。





その瞬間




グシャリ

骨が砕けたような音が辺り一面に広がった。





『パパーしっかりしてよー!』


私は訳がわからず血を流して倒れている父に
話しかけ続けた。



『和希!!しっかりして、誰か救急車を…
救急車を呼んでください!!』


母は父の名前を呼び、泣き叫んでいる。




私はその光景を見たあとプツリと意識が途切れた