「先生、話はそれだけですか?」

私はカバンを持ち帰る支度をする。

「待てよ。僕がそんなすぐ帰らすと思う?」

先生の顔が険しくなった。

桃先の気持ち、わからない。

「先生?」

先生はコーヒーを口に入れ私の方に近づいて来る。

私の唇と先生の唇が触れた。

口の中にはほんのり苦いコーヒーが入ってきた。

「先生っ!何するの?!」

私はすぐ唇を拭く。

「柏木がコーヒーに慣れてほしいだけだ。今日は帰っていいよ。嫌な思いさせてごめんな」

私のファーストキスが桃先に取られた。