ー美結が手術室に入って二時間がたとうとしていた。

俺は手術室の前のイスに腰を掛け、手を握って待っていた。

(頼む。成功してくれ。)

(もう一度美結を笑顔に…)

(笑顔の美結と走れるように。)

心の中で何度繰り返しただろう。

手術というものはこんなに時間がかかるものなのか…

時間がたてばたつほど不安が募っていく。

(美結。美結。)

そのとき、手術中のランプが消えた。

俺は反射的に立って、そのドアが開くのをまっていた。

すると、一人の医師が出てきた。

「「松原さんの手術は…成功しました!」」

その言葉を耳にした瞬間、自分の頬に涙が伝った。

(よかった。ホントによかった…。)

美結が運ばれてきた。

そこには、笑顔の美結がいた。

『がんばったでしょ?』

「ああ、本当に。よくがんばったな。」

俺は、涙をぬぐいながら美結の頭に手をのせたのだった。