「なぁ。美結。」

『ん?』

「足、手術したら治るんだってな!」

『えっ…?』

「悪い。さっきの話聞こえちまった。」

俺が謝ると美結は俺の方を向き、笑顔で言った。

『そうなの!手術したら治るらしくて。』

「成功率も98%なんだって?」

俺がそう言った瞬間、美結は不安そうな顔になった。

「なぁ。美結。なにがあったんだ?」

『ん?なにって?』

「美結、手術の成功率98%なのにそれ聞いた瞬間いつも不安そうな顔する。」

美結がビクッとした。

「美結。一人でなにもかも背負い込むなって!辛いことがあるなら俺にもいってくれ。美結の辛い顔を見るのは嫌なんだよ!」

『翔…』

美結の目から涙が溢れだした。

「美結。」

『うわぁぁ~ん』

「美結、話してくれ。」

美結は小さくうなずいて話始めてくれた。

『私、怖いの。』

「手術がか?」

『うん。…成功率98%ってそんなに高いことなのかな。だって100%じゃないんだよ?絶対成功するってことじゃないんだよ?残りの2%に私が入らないって保証はないんだよ?』

「…」

『わかってるよ…98%って高い数字だってことは…でも、絶対成功するかもわからない手術を不安なしで受けるなんて無理だよ~。怖いよ~。こんなマイナス思考の私なんて嫌だよ~。』

美結の中ではりつめていた線みたいなのがプツリと切れたように、泣き出した。

俺は、黙って美結を抱きしめ落ち着くまで背中をさすっていた。