「すみません。
校門の前、なんかで待たせてしまって」



ゆったりとした空気のなか校門をくぐる。
春の風に揺られ桜も校内にはいってしまったようだ。


さすがは、“佐倉高校”
とでもいっておこうか。


名前の通り



「いえ。すこし、珍しいとは思いましたが、」


“気にしてませんよ”



そう続くはずだった言葉は簡単にかきけされる。




「校長から、1人で校舎をうろつくのはあまりに危険だという判断が下りまして、」


伊月先生は坦々とことばにする
まるで、それが当たり前かのような


たしかにこの高校の、女子の人数が少ない、という話は聞いたかとがあるが、


「心配していただき、すみません」