はぁ、何でなんだよ、カプセル買ったのにドールカプセル買い忘れた、くそっ。
むしゃくしゃしていたので、公園でも行って気持ちを落ち着けようと歩道を歩き始めた。うつむきながら歩いていたら、歩く先に光を浴びて光る白い物体が見えた。
何だあれ、空き缶にしては変な形だな。
「えぁ?これは、ドールカプセル!何でこんな所にあるんだ⁉︎」
そう言えば、最近ドールを捨てる奴が居るとテレビでも言っていたな、買い忘れてたし、持って帰ってアカウント作成の時使おう。幸いドールカプセルには、傷はなく、ドールも中でスヤスヤと眠っていた。黎人はまだアカウントを作成する前だったので、このドールをアカウントとして使うことにした。
アカウントを作成するには二つの選択肢がある、一つはケータイ、パソコンなどからアカウントを作成し、ドールに写すタイプ。もう一つは、ドールを自分好みに作成してもらい、それをアカウントとして登録するタイプ。
黎人は、ドールカプセルを小脇に抱え走って家に帰った。
「ただいま。」
今は誰も居ないため、自分の声だけが家に響く、肩をすくめて自分の部屋に行くと、カプセルが部屋を占拠しているのが嫌でも目についた。
さっそくカプセルにドールカプセルをセットする、青白かったドールが少し赤みを取り戻す、もともと色白に設定してあるのか、そこまで健康そうには見えなかった。改めてドールを見ると人型の男性であるが、耳と尻尾がついている、耳はどうやら猫耳らしい、耳には三つほどピアスがはめこんである。
ドールの情報が少し残っていた、どうやらこのドールは剣士のようだ、名前すら残って居なかったが剣士であることと、最近はログインされなかったようであった。さっそく、じぶんのパソコンとリンクさせて、アカウントを作成した。
名前は…零でいいかな。
パソコンの画面にログイン完了の文字が浮かぶ。
黎人は、カプセルに入った…
ヴゥーン…