「みんなー席についてー、転校生を紹介するわよー」
クラス中が騒いでいる。まぶしい光の中に見えたのは、うちの高校の制服着た、モデルの『北神 翼』が、立っている。男子は全員頬を赤くして、女子は睨んでいるやつもいれば、目を大きくして喜んでいるやつもいる。そんな中一人無表情なのは、きっと私だけだろう。





私は、『立花 響』ファッションセンス0で、全然モテなくて、運動神経0のごく普通の高校生。唯一勉強だけは出来て、奏山高校に合格できたのだ。クラスも普通で、なんの特徴もなかったけど、最近関東から、有名なモデルの北神 翼が転校してきたのだ。私は、お洒落なんて興味ないし、ましてや北神 翼なんて初めて知った。北神は、こっちを見て驚いたような顔をしていた。それから、少し悲しい顔をしていた。








休み時間…これは凄い。今まで会った事が無い人達が、沢山いる。私は、友達の磨姫/まき と、蒼葵/あおい と、一緒に人をかきわけて、購買に向かう。まさに、戦場。パンの取り合い戦争だ。
私は、メロンパンをゲット。磨姫は、あんパン、蒼葵は、焼きそばパンをゲットしていた。




磨姫…西藤 磨姫。お嬢様気質で、ピアノが、上手。響とは、小学生からの、親友。男子から、凄く人気だ。帰宅部。



蒼葵…花宮 蒼葵。ボーイッシュで、女子からモテている。最近では「蒼葵ファンクラブ」ができている。磨姫と同じで、小学生からの、親友だ。部活はバスケ部。



教室の騒ぎは、まだおさまっていない。
「マジ、ヤベーな。教室のうるささ」

「すごいですわね。北神様の人気」


「あたしも、負けてらんねー。てか、あたしのほうが、モテてね?」

「まあ、蒼葵は女にモテてるからねー。どんどん北神にとられていくよー」

「うわっ、響ひどっ。マジ、グサッときたんだけど」

「ごめんごめん。大丈夫。蒼葵ファンクラブは、永遠不滅だよ」

「磨姫のファンクラブも、永遠不滅だよなー」

「いえいえ、蒼葵様の人気の方がすごいです」

「メッチャ、話変わるけど響って北神に似てない?」

「たしかに、似てますね。目の大きさとか、雰囲気とか…」

「いやいや、北神の方が可愛いよ。」

「何だよー。その自信。」

「そーですわよ。あっそうだ、髪の毛を、全体的に上げるとどうでしょう?」

「うぉー。それいいなー。」

「もう…やめてよー」