雨木ちゃんにしては失意な恋


そして三月。

受験シーズンに入り、えつこは倍率の高い進学校に入りたかった。
自分の成績より少し上だが、頑張って入学しようと思った。

「昨日、勉強した?」

えつこはいじめられっ子だったが、友人は何人かいた。

「したよ、当たり前じゃん!」

その日は第二志望校の試験日。
山口沙也加という友人と試験会場にバスで行く途中のことだった。