「そうだったのですね…」
橘さんは、それ以上はなにもきいてこなかった。
それからすぐ、車がある建物の前で泊まった。
「お待たせいたしました。会場でございます」
『ありがとうございます』
車を降りたあたしは、開いた口が塞がらなくなった。
なにこの豪邸…デカっ!!!
「日本にこんなところあったんだな…」
奏さんも驚いているみたい…
「こちらが招待状になります。受付でご提示ください。
それでは、私は他のお客様の送迎がありますので」
『あ、はい!』
…帰りたい。
こんなとこ、完全に場違いだ。
今からでも遅くないかな。
「萌佳、行くぞ」
『えっ行くんですか?』
「当たり前だろ?ここまで来て」
えーーーーっ
奏さん度胸あるなぁ…
あたしは奏さんに腕をつかまれて、豪邸の入り口までやってきた。
どうやら、パーティーは庭で行われるらしい。
…あれ?
なんか前の人のともらった招待状、全然違くない?
不安にかられながらも、あたしは招待状を受付の女の人に渡した。
「桜井様と、お連れの方ですね。あちらが会場となりますので、しばらくおくつろぎくださいませ」
『はい、ありがとうございます!』
「それから、これを」
差し出されたのは、小さなブローチだった。
「こちらを胸にお付けくださいませ」
『は、はいっ』
言われた通り、ブローチを右胸につけた。
「高そうだな…宝石?」
奏さんの問いかけに、あたしは何度もうなずく。
こんなの付けたことないよ…!
