『…え?』
駅についた瞬間、目に入るたくさんの高級車。
どうやら、あれが送迎の車らしい。
「俺たち…なんか場違いじゃない?」
『ですね…』
奏さんと駅から出られないでいると、ひとりの男の人が話しかけてきた。
「桜井萌佳様ですね?」
えっ…なんでわかるの?
「そうです」
奏さんがわたしに代わって答えてくれた。
「申し遅れました。わたくし、橘と申します。本日会場まで送迎させていただきます」
そういって、名刺を差し出された。
『あ…お願いします!』
ミヤさん、写真渡してたのかな。
これ、なんていう車だっけ…
とにかく高そうな車…
橘さんはさっとドアを開けてくれた。
『き、緊張しますね…』
「そうだな…」
あたしと奏さんはおそるおそる車に乗り込む。
「発車いたします」
会場まではすぐですので、と橘さんは言った。
ほんと、すごい車だな…
ホスト風の奏さんはよく似合ってる…
「桜井様、お連れ様のお名前をお伺いしてもよろしいですか?」
『あ…山城奏さんです』
奏さんは軽く頭を下げた。
「山城様ですね。
ところで…本日は、なぜあなたが?」
なぜって…
『奏さんはサークルの先輩で、あたしも奏さんも宮本さん(ミヤさん)とサークルが一緒なんです。
それで、頼まれて…』
