「綾人ん家にでも行くから」
え?綾人サン?サークルの?
『どうして…』
「どうしてって…さすがに一緒に寝られないでしょ」
もしかして…
『最初からそのつもりで…?』
「そうだけど…」
そうなの!?
『いやっ、悪いです!あたしやっぱり帰ります!』
「いーよいーよ。落ち着かないかもしれないけど、寝られるでしょ?
あした俺が帰ってくるまでいてくれればいいから」
そんな…あたしがゴキブリ怖いだけで…
どんだけいい人なんだ…
ちょっとでも疑ったあたしが恥ずかしい。
「それとも、一緒に寝たいの?萌佳」
『えっ!?』
「冗談だよ」
そんな大きい声出すなよ、と
チャラ男サンは笑った。
「じゃ、鍵ちゃんとしめてね。
それから、あんまり部屋のもの見ないように!」
『はい。ほんとにすいません…
ありがとうございます』
ドアが静かに閉まる音が響く。
チャラ男サン…
いや、もうチャラ男サンと呼ぶのはやめよう。
正真正銘のいい人イケメンだ。
奏さん。