「私と、別れてくれませんか…?」



雨の音が鳴り響く夜。

運転手に席を外させ、後部座席で隣に座っている彼女が放ったひとことだった。


…わざわざ来てやったのに、それかよ。




『いいよ』



俺は少し離れたところで待っている運転手に合図をし、車を出させた。




『もう帰るから。送ってやって』



「かしこまりました」



来たときより雨が強まってる気がする。

俺はぼんやりと外を眺めていた。



「…ねぇ」

彼女…いや、もう元カノになるのか。涙目になった結子は言った。



「理由…きかないの?」