荘厳な森の、濃密すぎる緑に囲まれて居ると、一瞬、糸の切れた風船のように自分自身を見失ってしまう事があった。しかしそれは一瞬の事であり、すぐに我に返るのだった。そんな事が度々起こるのは、私の中の何かが、危険を察知してるのかも知れない。でもその危機感さえも、理論立てて推測する事も出来なかった。