かくれんぼ…ねー。…気が進まない。できれば、したくない。そんな私の願いもむなしく、まもなくホームルームが終わろうとしている。
「起立。礼。」
「ありがとうございました!!」
けど明日は土曜日。幸いなことにかくれんぼをしても、体力回復が、ゆっくりできる。
「真奈っ!!帰ろっ!!」
「うん。」
「ねーねー、帰りに喫茶店に寄ってこーよ!!」
あ、私、金あったっけ?うん、結構あるぞ。ためててよかったー。
「そうね。真奈いい?」
歌羽…。方は…。その断れきれない目をされたら、誰だってうなずいちゃうよ…。
「うん。いいよ。」
「じゃ、レッツゴー!!」
今日の実麗はいつもよりはじけてるなー。なんか良いことでもあったのかなー?なーんてそんなことを思いながら喫茶店へ。
「真奈何頼む?」
実麗と歌羽はもう決めたみたい。
「私は、とりあえず、イチゴのシャーベットでいいよ。」
「本当、真奈はイチゴが好きだね~。」
実麗がからかうように言う。だって美味しいんだもん。
とりあえず、注文を済ませて、席につく。
「ね、今夜のことなんだけど…。怖いから、1人じゃなくて、2人で、行動しない?」
あ、それは私も賛成だな。やっぱり1人は結構怖い。やっぱり、歌羽もそうらしく、「そうね。」と言っていた。「それがいいよね。」というと実麗もほっとした表情になった。
「まぁ、あとは男子が、賛成してくれるかどうかだけなんだけどね。」
あぁ、そうだ…。
「もちろん、全員賛成!!男子とは言えども少し怖いからな!!」
う、うわっ!!ビックリした~!!なんか、最近政成が気づいたらいたっていうことが多いな~。
「で?どう分けるか…だな。」
和也が冷静に言う。
「それはあらかじめ考えてたの!!えっと、私と直樹に真奈と政成、歌羽と和也って考えてるんだけど、どうかな~?」
おお!!実麗、冴えてるね!!一番いい組み合わせだよ!!
「私はそれが一番いいと思う。」
「わ、私……も。」
もう!!歌羽ったら、照れちゃって!!ほら、和也も照れてるじゃない!!
「じゃあそれで行こう!!」
結局こうなってしまった。そのあと、なにやら男衆は、作戦を立てるらしく、店からでていった。
「ご注文の、イチゴシャーベット、マンゴーかき氷、3食アイスです。」
皆のも美味しそう。
「美味しい!!」
思わず、言ってしまった。
「真奈、本当幸せそう。」
だって美味しいんだもん。食べ終えて、店から出ると…
「ねぇ暇?俺たちと遊ばない?」
メッチャ不良の人が誰かにナンパしてる…可哀想。
「真奈、あなたナンパされてるのよ?」
エエエ!!いや、ナイナイ。……でもこっちの方を見てるよね…。……って、歌羽もじゃん!!
「私たちこれから行くとこあるので結構です。」
実麗がそう言ってくれた。
「そんな言わずにさ…。」
「って、離してください!!」
変態!!とは言えない…。って、この人どんだけ力強いのよ。
「だから、離してください!!じゃないと…とりゃあ!!」
ん?なんか実麗の声が聞こえたけどどうしたんだろ?振り返ってみると…エエエ!!実麗が不良投げ飛ばしてる!…で、次々と投げ飛ばして…結局全員投げ飛ばしちゃった。
「実麗ありがと!ってかすごい!!」
「直樹に教えてもらったの!!」
へぇ…。どうりで…。あれ?歌羽がいないな。どうしたんだろ?
「ところで歌羽は?」
「警察に通報中。誘拐されそうになりましたって。」
おいおい…。まぁ、仕方ない、あの人たちも実麗に手を出したのがダメだったんだよ。…お気の毒に。しばらくすると、歌羽が戻って来た。
「OK!!」
OKって…。まぁいいか。
「じゃ、帰ろう!!」
三人で、しばらく雑談していると…。
「あ…。私こっちだから……。」
かくれんぼするまで1人ってなんか寂しい。そうだ!!
「あのさ、かくれんぼ始まるまで一緒にいない?」
「そうだね!!」
「じゃあ、真奈の家でいいかな?」
「うん!!」
私の家はいつでもOKだからねー。
「じゃ、レッツゴー!!」

「「お邪魔しまーす!!」」
「お帰りなさい。あら、歌羽ちゃんと、実麗ちゃん!!いらっしゃい」
「今日は歌羽と実麗が泊まることになったんだけどいい?」
「ええ、いいわよー。夕ごはんは?」
「うーん…じゃ、ちょっとだけ。」
さっき食べたのは、おやつなのかなー。
「じゃ、時間になったら呼ぶわね。それまでにお風呂入っときなさいねー。着替えは、真奈のでいいわね?」
「うん。」
「じゃ、私から入るわ。」
ということで歌羽から入ることになった。
歌羽が入り、二人になった。
「ね、真奈はかくれんぼ、怖い?」
「んー…どうだろ、これからすることに実感がわかないんだよね…。」
することはわかるんだけど…想像つかないというか…。
「私も。怖いっちゃ怖いんだけど…んー不思議だなぁ。」
確かに。やっぱり、やったことないし、かといって見たこともないし…。んー…複雑…。二人で考え込んでいるうちに歌羽が上がってきた。
「上がったよ。」
「じゃ、私が入るね。」
実麗が入って私と歌羽だけになった。歌羽はというと…普通にのんびりしてる。
「…歌羽緊張してないの?」
「んー…。怖くもなければ実感もなし…だね。それより、不安…が多いかな…。元は実麗と政成が言い出しっぺだけど私、やろうって言ったじゃない?あの時は冗談だったんだけど…今は嫌な予感がするのよ…。なんか。本当にかくれんぼがありそうで。」
歌羽は心配性なのかな?
「大丈夫だよ!!皆もいるし!!」
「そうね、心配することなかったかも。真奈いいこと言うわね。」
「へへ……。」
まぁ、例えあったとしても鬼の背中をタッチするだけだから大丈夫でしょ、多分。
……だけど後から私達は思いしる。そんな簡単なものではなく、やっていいことではなかったと。

実麗が上がって、私が入る。
「じゃ、入って来る。」
「「いってらー。」」
廊下に出ると知らず知らずため息が出た。やるだけだけど夜の学校に行くのが、少し怖い。
お風呂に入って一人になったというのに、かくれんぼの事が頭から離れなくて、体も洗っていないのに上がりたくなる。とりあえずかくれんぼのことは考えないようにして、体と髪を洗って、時計を見ると…ヤバい、もう三十分経ってる。早く上がらないと。
部屋に戻ると二人とも待ちくたびれたようだった。
「遅ーい!!」
「何してたのよ?」
それを言われても…。とくになにもしてないんだよ…。ま、ここは場をしらけさせないように…。
「色々考えてた。」
「え!?真奈にも好きな人が!?」
「いつの間に?」
うわ、絶対歌羽わかってるわ。実麗は…うん、分かってないな。
「とりあえず何する?」
「やっぱ女子トークでしょ!!」
「私はそろそろ勉強した方がいいんじゃないかと思うんだけど。」
……二人とも個性的ですね。私のことはとてもじゃないけど言えません。ゆっくりしようか。とかとてもじゃないけど言えない。
「3人ともーご飯よ~。」
おっ!!ちょうどいいタイミングでご飯のお知らせが!……なんか文おかしい気がするけど気にしない。私は気にしません。
「うわ~!美味しそう~!!」
「伯母さん、今度うちの母に料理教えてください。」
「ありがとう~!!でも、歌羽ちゃんのお母さんも実麗ちゃんのお母さんも十分にうまいじゃない!!私よりうまいわ!!」
歌羽たちやけにほめまくってますな~。そして、うちの母、なぜか今日は豪華ですね。ま、いっか。
「「いただきます!!」」
あれ……いつもと味が違いますね。どうしたんだろ。
「この前お父さんが他の味も食べたいって言ってたから、変えてみたの~。」
やれやれ、うちの母は……。
色々と話して(主に歌羽と実麗とお母さんが)食べ終わったのでまた二階へ。
ガチャ…。
……はぁ……。
「隼兄、出てけ。」
「えー!!お兄ちゃんに向かって、そりゃないよー!!せっかく妹の帰りを待ってたのにー!!」
「まってなくていいし、年頃の妹の部屋に男が勝手に入るな。あと、暇ならお母さんの相手してあげて。じゃあね。」
バターン!!
「ごめんね、うちのバカ兄が。」
「「いつものことだから大丈夫。」
今のは兄、隼斗。シスコンのバカ。ということで説明終了!!
「で、何する?」
私は寝たいと言ったら、
「じゃあかくれんぼのために11時まで寝とく?」
「そうしよう。」
よかったー。本当今疲れてたんだよー。
じゃ、私はベッドっていったら案の定、
「えー、真奈だけずるいよ~。」
と言ってベッドに入ってきた。……暑い。
「じゃあ、私も。」
う、歌羽も!?今日は甘えん坊ですなー。
「はー暑いなー」
「夏は夏!しょうがないよ!」
いや、実麗が私にくっついてるから暑いんだよ。と、心のなかでつっこんでいると、
「暑いー。実麗離れてー。」
と、歌羽の声がした。まぁ、ここは歌羽に犠牲になってもらおうと思って寝ようとしたら、今度は2人してくっついてきた。
「ちょ!暑いんですけどー!」
「夏だから仕方ないでしょう?」
と、歌羽。
「3人くっついて寝よーよー!クーラーつければすむことじゃん!」
と、言って実麗がクーラーをつけてくれた。ま、いっか。
「んじゃおやすみ。」
そういって寝ようとしたら、思った通り実麗が
「えー、もうちょいはなそーよ。」
「かくれんぼするんだから寝よーよー!」
「はぁーあ。つまんなーい」
と、言いつつも寝てくれるらしい。
「おやすみ。」
「おやすみ。」
「おやすみ~。」



ピピピ…。
「ほら起きて。」
あれ?何でここに歌羽が?あ、そうだった。私達一緒にねてたのか。
「真奈起きたね。」
「あ、おはよう。」
「そうそう、実麗起こすの手伝って~。」
実麗は気持ち良さそうに寝ている。本当はおこしたくないところなんだけど、そんなわけにはいかない。
「実麗!」
「zzz」
バシッ!
「zzz」
「あ、あそこにウサギが!」
バッ!
「どこ!」
反応はやっ!
「ほら、いくよー。かくれんぼ。」
「ウサギは?」
「いません。」
そういうと実麗ガックリしてる。
「じゃ、行こっか」
「レッツらごー!」