「ユイは…誰がお弁当作ってるの?」
ユイの弁当はとても質素なものだった。
梅干しがチョンと乗った白飯と、焼そばが沢山入った弁当。
「…お父さん。お父さんの焼きそば、美味しいんだよ!」
「そうなんだ!今度、食べたい!」
「いいよ!作ってもらってきてあげる!」
一瞬寂しそうな顔をしたけど、ニコッと笑いながら白飯を口に運ぶユイ。
私はそれ以上、何も聞けなかった。
ユイは、いつも私といた。
後から他の人に聞けば、ユイの家庭は父子家庭だという。
母が小さい頃に亡くなり、その後は父と妹と3人暮らしなんだという。
父は昔から不器用で、お徳用パックに詰め込まれた焼きそばを作ることくらいしかできないのだという。



