————————夏休み。

やっとのことで、私達に自由が始まった。
それもほんの一月。
わかってる、でもそれでもいい。





私にとって、それは笑顔になれる毎日だからだ。
それと同時に不安が襲う。

いつか夏休みが終わる。
その不安が、今一番苦しい悪夢だ。




『ミユ…何?』

「焼きそば、食べたい」

『焼きそば…?』




あの日言ってくれた、ユイが言ってくれた、あの言葉。
焼きそば食べたい、私の一言。
いいよ、って笑ったユイ。

あれから私達は色のない生活を送った。
焼きそば、そんなものを食べる気にもならず。



でもやっと、笑えるんだ。
それもほんの少しだけだけど。


『わかった、作ってもらうね』


お父さんの愛の詰まった焼きそば。
私にも、ユイの寂しさを分けてほしい。

ユイ、ユイが今一番大切なものはなに?
あなたにそれを贈りたいよ。