赤黒いバラ

別れたことにたいして後悔はしてない。

このままダラタラとしていても仕方ないだろうと思ってもいたから。

ただ、別れることになったとき、気持ちを伝えたときの斗真の顔だけがいまだに離れない。

表情に反して態度は優しかった。

そんなことを思い出していると、

「ねー。桜どう?思わない!?」

と、邪魔をしてきた。

こいつの能天気なところに苛立つこともあるけど、救われることもある。

今は救われたかな。思い出していると罪悪感だけが甦ってくるから。

「そうだね。名前は似てるかも。でも、容姿とか性格は違うからね!?」

名前は本当に納得いくくらい似ている。

だが、それ以外は似ていないだろう…。

「そうかなぁ…雰囲気とか似てると思ったんだけどな…。」

思ったこともなかった。