「知ってますよ。」

それを口にしようか迷った。

でも、口にしたところで話が進展するわけじゃない。

「昔本で読んだんです。小さい頃猫を飼っていてその猫が亡くなったときに読んで、俺もいつかその猫に会えるのかな。とか思いながら。でも、今となっては虹を見ると大学の教授が言っていた大きな二次関数って言葉がよぎるんですよね…」

良い話になると思ったのに…

何が大きな二次関数ですか…

「実際は虹って円なんですよ。」

そう言ったのは仲上先生。

「「そうなんですか!?」」

私ははじめて知ったので驚いた。小鳥遊先生もはじめて知ったのだろうか。

「地平線で見えなくなるだけで、条件が合えば、あるいは飛行機からとかなら円に見えますよ。」

「じゃあ、方程式は変わってきますね!!」

と、小鳥遊先生は笑いながら言った。

「ついでに、虹が二重に見られるときもそれなりの条件が必要です。…。そろそろ東雲さんは下校したほうが良いのでは?」

時計を見てみると、6時だった。

遅くなるとまた怒られる…。