送別会は何事もなく過ぎていった。

「いっしーさぁ、卒業したらまた来るよね?」

ふとそんな会話が入った。

喋っているのは七美先輩と石持先輩

「うん。一応ね。部活とか覗きにきたいし。」

「それだけじゃないでしょ!?愛しの愛しのあのお方に会いに来るんでしょ?」

七美先輩は笑いながら石持先輩に言った。

愛しのあのお方?小鳥遊先生のことだよね?

「小鳥遊先生のことですか?」

私は先輩方の会話に加わった。

「そうそう。桜ちゃんの担任の小鳥遊先生!いっしーよく会いに行ってるもんね!」

「七美?誤解させるようなことを言わないで?違うからね?桜ちゃん。」

どうなんだろう。でも私は好きじゃないことを祈るばかり。

そんな資格無いのに…。

「石持先輩ダメですよ。小鳥遊先生は仲ちゃんのものだから!!」

私は話をおもしろくさせようと仲上先生を出した。

ごめん。仲ちゃん。

そう言うと、ちょうど仲ちゃんが美術室に入ってきたときに聞いた発言がそれだったため、

私は仲上先生に

「東雲さん?さっきの発言は何かなぁ?」

と頭をグリグリされた。

「いたいいたいいたいたい!!」

それを見ている先輩方は笑った。

本当はあのまま石持先輩に好きなのかどうか聞けばよかったのだろう。

でも、知りたくなかった。いや。知ってしまったら何かが壊れそうな気がしたから止めたのだ。