赤黒いバラ

絵を描いていると珍しく石持先輩がやってきた。

「桜ちゃん。小鳥遊先生って見てない?」

受験が終わったのにまた小鳥遊先生なんですか?

そんなことを思ったが声には出さない。

「見てませんよ?まず、この時間に来てるんでしょうかね?」

小鳥遊先生は朝が弱い。だから朝早くに来るはずはないのに。

「そうかぁ…。昨日話したいことあるかって言ったのに…。」

話したいことって何だろう…

「告白…ですか?」

思わず口に出してしまった。

「違う違う。合否だよ。受験の第二志望は受かったんだけど、第一志望は今日が合否発表でさ。まあ、落ちたんだけどね。んで、慰めてもらおうってわけ。」

なんか、そんなことで小鳥遊先生を振り回してほしくないなぁ…

心の底からそう思った。

「で、桜ちゃん何描いてるの?」

「え!?あのこれは!!」

絵のノートを取り上げられてまじまじと先輩に見られる。

「あはは。これ真山先生でしょ?あと、これ上原先生だ。特徴とらえてるねー。」

「うぅ…恥ずかしい…。」

まさか見られると思ってなかったし、その見られた人が先輩だとは…

「ね。良かったら小鳥遊先生描いてみてよ。」

なんでよりによって小鳥遊先生…

「分かりました。じゃあ、先輩は仲上先生描いてみてくださいよ。」

そうして、お互いに先生の描きあいっこをしていた。