ザァ―……



「やってしまいました……」



 ツイてないです。


 折りたたみ傘を忘れた日に限って、大雨に降られるなんて。



 とあるお店の軒下で10分。


 雨脚が強まっているのは、気のせいでしょうか?



「もう、行くっきゃない!」



 覚悟を決めて、通学カバンを頭の上へ。


 ネズミ色の空の下へ駆け出す、そのとき。



「何やってんの」


「ほぇっ? あっ、蒼井くんんっ!?」
 


 ビックリした……!



 どこからともなく現れた蒼井くんは、わたしの正面に立ったまま。


 あ、そだ。質問されてたんでした。