「あっれー? どこ行ったー?」 「私がまかれるとは……やはりウチの陸上部に……!」 ひぇえええ……! 声を押し殺し、足音が通り過ぎるのを待つ。 どれくらい経ったんだろう。 シンと静まり返ったところで、教卓の影から這い出る。 「毎日これじゃ、身が持たないよ……」 ため息混じりにカバンを持ち直し、固まる。 だって……気づいちゃったんだもの。 誰もいないと思っていた空き教室に、人がいたって。