美桜たちが何もしてこなかったのは、いじめる標的を直樹に変えたから。 だから、まりえは何もされなかった。 許せない――。 グッと拳を握ると、後ろに気配を感じた。 バッと振り返ると、そこにいたのはあの時の女性。 黒いフードをかぶり、傘もささずにそこに立っている。 「すごく立派な弟ね。お姉さんのために自ら犠牲になって、いじめられて、死ぬなんて。」 クスッと肩をすくめる女性の姿が勘にさわる。