耳を疑った。



自分が誰かわからない?



嘘だよそんなの。



そんなはずない。



だって確かにこの間。




「私のこと呼んだでしょ…?

『ちづ』って。」




明らかに目を泳がせ、駆琉がまた外に視線をやった。




「それだけなんだ。

『ちづ』が誰なのかだって…」




そんなの聞きたくない。



冗談だよね。



笑えない嘘はやめてよ。



違うって言ってよ。



ねぇ、駆琉…。