Only Our Memory

「駆琉。」



だんだんと意識が現実にもどってくる。


…苦しい。



『駆琉』

って誰?

ここは?



目をあけて最初に見たのは、静かに涙を流す女の子。



俺の手を握るその手は、夢で感じたものと似た感触。



この手知ってる…ような…。



それでもやっぱり思い出せない。



なんなんだよ。



俺の目に映るのは出口の見えない真っ暗な闇。



恐い…っ。



動かない手に力をいれて、やっと聞こえるくらいの声を絞りだす。




「ちづ……」