-駆琉side-


長い夢を見ていたような不思議な感覚。



思い出すのは小さかった頃の…。



いつも隣にいた、大好きな女の子。




『ちづね、……くんのこと好き!』




『僕もちづのこと好きだよ!』




ちづ?

えっと…。



考えてみても思い出せない。



顔も。



知っているのは名前だけ。



本当に俺の記憶?



違和感から、あることに気づく。



俺の名前、なんだっけ。

家族は?

友達は?



何もわからない。





俺は、誰だ?