Only Our Memory

「駆琉、いつ目覚ますかな。」




病院からの帰り道。



不安になって蓮にそんなことを聞いてみる。




「生きてんのが奇跡なんだろ。

だったらアイツを信じて待つしかないんじゃん?その奇跡ってやつをさ。」




「うん…。」




「え、ちょっ、なんで泣いてんのっ。」




「え…?」




泣いてなんか…


って思ったけど、確かに目から涙が零れた。




「泣くな。大丈夫だから。」




そう言って、親指で私の涙を拭う。



蓮だって、確信があるわけではない。



でも信じてるんだ。



駆琉のこと。



私も信じなくちゃ。



駆琉なら大丈夫だって。



それでも、今涙を流した方がいいのかもしれない。



駆琉が目を覚ましたとき、上手く笑えるように。