ひどい…ひどいよ。




初めてだったのに。




たくさんの涙がこぼれ落ちる。



拭っても拭っても、イミがないくらい。



蓮をぶった右手が痛い。




やり過ぎたかな。




でもやっぱり蓮のしたことは最低だよ。




今日は、私の誕生日なのに…。




「なに泣いてんの?」




「!!」




突然後ろから男の人に声をかけられた。




「そんなにびっくりしなくても笑」




この人は何も知らない。



涙なんて見せたくないから、必死に涙を拭いた。




「彼氏とケンカでもした?」




「彼氏、なんかじゃありません。」




蓮は、ただの友達。



ただの…。




「友達、だったのに…。」




私はずっと友達で…




「はいはい。泣いていーよ。落ち着くまでこうしててあげる。」




私とあまり背の変わらない、名前も知らない彼に抱きしめられた。



でもなぜか抵抗はなかった。



むしろ安心している自分がいた。



だから素直に泣いた。



涙が枯れるまで。