Only Our Memory

蓮はその間、屋上にあるベンチに座って待っていてくれた。



私を一人にしないようにしてくれた。




『屋上にいる。』




とメールが来たから、屋上に向かった。



水飲み場から戻ってくるまで、私のために待ってくれていたようだ。



私を、一人にしないようにしてくれたことが嬉しかった。



それから、一時限目が終わるまで、屋上で他愛もない話をして盛り上がった。



蓮は駆琉の話はしなかった。



きっとまた私が泣くと思ったんだろう。



蓮は優しいんだ。



中学の時から変わらない。



なにも言わなくたって、ずっと側にいてくれるから。




「蓮、ありがとね。」




教室に戻る途中で、

蓮の前を歩いてた私は、背を向けたまま、小さな声でそう呟いた。




「どーいたしましてっ。」




私の頭の上にぽんっと手をのせて、すぐに私を追い抜いて歩いていった。