帰りの車の中では誰も話をしなかった。



俯いたまま車をおりて、小さく




「送ってくれて、ありがと。」




って言った。泰生君は、


どういたしまして


って優しい声で言ってくれた。




それでも顔を見れなかった。



そうしたら泰生君が私のすぐ近くに歩いてきた。




「ちづる…じゃあね?」




「うん…。」




私を心配して顔を覗き込むように言ってくれたが、

力なく返事をして、車が見えなくなるまで見送った。



家に入っても、何もしたくなくて着替えもせずに、ベッドに倒れ込んだ。



でも駆琉のことを考えたら寝れなくて。



ただ時間だけが過ぎていった。