いや、知ってる。




「…ッ!」




頭にわずかな痛みが走り、思わずギュッと目に力を入れた。




「思い出した…。“俺”…。」




『あんな思い』
ってこのことだったんだ。



ゆっくりと目を開けて、ちづを見た。




「思い出したよ。全部。」




どうして危ないと思ったのか、

なんで『あんな思い』って言ったのか、

なにが悲しいのかわかったよ。



ちづがこんなにも必死になってくれていることも全部。