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第十九話:虚(うつろ)の一種
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マジかよ・・。

正直俺はショックだった。

さっきから守屋とお面の動きが全く見えない。

「サッシ、逃げるのはやめだ」

俺はサッシに言った。

「えっ」

サッシがきょとんとした顔をする。

相手がこんな奴らじゃとても勝てない。

「せぇのっ」

俺は、かけ声とともに守屋と戦うお面にケリを放つ。

俺のケリは、お面のわき腹にもろに入った。

グキッ

アバラの折れる音が聞こえる。

そして俺のケリでお面は壁までふっとぶ。

「擬人(ぎじん)君ナイスですよ」

守屋が言ってくる。

そして、腰からスティックのようなものを取り出す。

お面はすぐに立ち上がり、俺のほうに向かってくる。

「ちっ、俺のほうかよ」

俺はすぐさま身構えるが、いかんせん動きの速度が違う。

かわせるか?

サクッ

その時、お面の首に何かが刺さる音がした。

スティックだ。

守屋はすぐさま、それを抜き取る。

スムーズな動きだ。

シューッ

お面の首から大量の血が吹き出る。

お面は噴出す血と逆方向にスローモーションのように倒れた。