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第十三話:花火
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僕の住んでいる街では毎年8月の第一週に花火大会がある。

去年はコンビニでバイトしながらポンッという花火が上がる音だけを聞いていた。

僕は基本的に人ごみが嫌いだ。

だからお祭りや花火大会なんてものは、ほとんど行ったことが無かった。

でも今年はキヨノさんと一緒に行きたいなと思った。

ピロリンッ

パソコンからメッセージ到着の音が聞こえた。

拓からのメッセージだ。

なんか今日はやけに返ってくるのが遅かった。

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花火いいんじゃね?

きっと、キヨノも喜ぶよ。

誘ってみろよ。
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ってか、なんでお前が呼び捨てしてんだよ。

僕は拓にちょっとむかついた。

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えっ、喜ぶかな?

じゃ誘ってみよっかな。

ってか、キヨノさんを呼び捨てにするのはやめてよ。

僕もまだ呼び捨てにはしてないんだから。
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僕はそう返信した。

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あっ、わりぃ。

まぁ、でも俺が言うんだから間違いないね。

がんばれよ!
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なんだ、こいつやたら自信家だなあ。

でも拓のその言葉に背中を押されたのは間違いなかった。

僕はキヨノさんを花火に誘ってみることにした。