◇杉原隆と緒沢みゆき◇

コツコツ…
コツコツ…

「大丈夫?」

「え?」

「さっきから暗い顔してる」

「あ……。大丈夫です…」

「なんか、罪悪感あるなぁ」

「ど…してですか?」

「緒沢さん、連くんと帰りたかったでしよ?送って欲しかったでしょ?」

「え…そんな…訳…」

「ふふふ、それならいいけど。
家、どこ?」

「え?どうして?」

「緒沢さん送んないと。連くんと約束したから」

「あ……。まだ先です」

「わかった」

「先輩は…」

「ん?」

「先輩は美桜ちゃんと連くんが一緒に帰るの嫌じゃないんですか?」

「んー?嫌だよ?」

「え?じゃあどうして?」

「俺はね、美桜ちゃん信じてるから
だから大丈夫なんだよ?」

「そ…なんですか……」

「緒沢さんは?」

「私も嫌です。どうして、連くんは私が他の男の人と帰るのを嫌がらないのかなってずっと思ってて」

「それは…」

「はい、分かってます。
連くんは私を信用してくれてると思ってます。でも…」

「……でも?」

「っ……。私はっ!なんだか信用できなくって!今も!なんかすごい……」

「緒沢さん…連くんの事信じれないの?」

私は、信じれないの?
連くんの事を…。
どうして?連くんは私の事を信じてくれてるのに…どうして?

「緒沢さん」

「はい」

「あの二人はきっとなんにもないよ。」

「え?」

「俺はそう信じてるな。
俺は緒沢さんより美桜ちゃん信じてるから」

「先輩?」

「緒沢さんみたいに自分の大切な人、信じられてないなんてありえないよ?

連くんは緒沢さんの事を信じてるのに
緒沢さんは信じてやらないんだね。」

「それは…」

「ごめん、緒沢さんここでしょ?」

「へ?」

「家ここでしょ?」

「あ……」

「じゃあね」

「あ…りがとう…ございました…」

「うん、じゃ」