開け放しの窓からは、西陽が斜めに差している。穹がどう声をかけようか迷っていると、慎彰は美しい所作で向き直り、丁寧にお辞儀をした。
「お世話になります、これからよろしくお願いします」
「えっ、あ、と」
流れるような挨拶に、穹は咄嗟に対応できなかった。台所を預かっている紀李さんは州城に仕える女官だったらしいけれど、慎彰は同じくらい姿勢がきれいだ、と少し感動してしまう。
「おれ、たぶんきみより、年下、だけど」
「さっきお礼言えなかったから。水、ありがとう」
「・・・どうも」
律儀な慎彰につられて、穹も正座で頷く。自分と凌が相部屋であること、夕食はみんな一緒に広間で食べることなどをぽつぽつ話していると、部屋の入り口でごんっ、と派手な音がした。
「・・・ってぇ!」
床に這いつくばっているのは凌だった。どうやら覗き見ていて、衝立にけっつまづいたらしい。
「大丈夫?」
「ああ・・・ちくしょぅ、痛い」
頭をさすりながら起き上がって、凌は二人にはやく来いよ、といった。皆もう揃っているようだ。
「あ、俺も相部屋だから。凌っての。お前、男だったのな」
それだけ早口で言うと、凌はめしだめしだーと叫びながら、広間へとかけもどっていった。
慎彰はというと、あまりの落ち着きの無さに驚いてか、ぽかんとしている。
「ご飯、食べに行こ」
穹が手を差し出すと、慎彰は我にかえってその手を取った。
「お世話になります、これからよろしくお願いします」
「えっ、あ、と」
流れるような挨拶に、穹は咄嗟に対応できなかった。台所を預かっている紀李さんは州城に仕える女官だったらしいけれど、慎彰は同じくらい姿勢がきれいだ、と少し感動してしまう。
「おれ、たぶんきみより、年下、だけど」
「さっきお礼言えなかったから。水、ありがとう」
「・・・どうも」
律儀な慎彰につられて、穹も正座で頷く。自分と凌が相部屋であること、夕食はみんな一緒に広間で食べることなどをぽつぽつ話していると、部屋の入り口でごんっ、と派手な音がした。
「・・・ってぇ!」
床に這いつくばっているのは凌だった。どうやら覗き見ていて、衝立にけっつまづいたらしい。
「大丈夫?」
「ああ・・・ちくしょぅ、痛い」
頭をさすりながら起き上がって、凌は二人にはやく来いよ、といった。皆もう揃っているようだ。
「あ、俺も相部屋だから。凌っての。お前、男だったのな」
それだけ早口で言うと、凌はめしだめしだーと叫びながら、広間へとかけもどっていった。
慎彰はというと、あまりの落ち着きの無さに驚いてか、ぽかんとしている。
「ご飯、食べに行こ」
穹が手を差し出すと、慎彰は我にかえってその手を取った。
