光の記し

少年はのぼせた顔にしゅんとした表情をうかべて、すみません、といった。呂律もおかしくない。意識はかなりはっきりしているようだ。それから、急に気づいたように、手を胸の上で組んで、寝かされたまま礼の姿勢をとった。
「申し遅れました、ぼくは杜慎彰と申します。ご存知のとおり、北吾(ほくわ)村の槿冱蘇の孫に当たる者です。お世話になります」
「おん・・・十三と聞いてるが、随分とちっこいな」
それは本人も気にしているらしく、困ったように笑って、自分はこれでも家族のなかではのびたほうだ、と言う。

そうこうしていると、涼鈴が荷物の代わりにあれこれ入れたかごを抱えて戻ってきた。すると、修紅が慎彰の上着の胸元を大胆にゆるめようとしているのを見て、涼鈴は目を剥いた。
「え、ちょっ、楊師?!あけるまえに訊くくらいしましょうよ!」
それを聞いて修紅は、は?という顔をした。自分の手元と涼鈴とを交互に見る。
「火照ってるんだから、しゃあないだろうが」
「いや、そうじゃなくて!ほら、女の子なんだから!!」
そう続けると、修紅は、ますますワケわからん、というように眉を歪めた。
このあと、涼鈴は顔を茹で上がった蛸のように顔を真っ赤に染めることになる。そう。


「こいつは男だぞ?」