「待ってて! 今、那月さんを呼んでくるから!」 焦る気持ちを抑え、そう声を掛けて走りだそうとした時。 ぎゅっ…… 不意に手首を掴まれた。 手首に感じる、安堂くんの熱すぎる温度。 「安堂くん……?」 「ここに、いろよ……。 俺のそばから、離れない、で……」 熱のせいか、目も潤んでいて息も荒い。 安堂くん……。 「わかった。 私は、ここにいるから……」 そう言ってベッドの横に膝立ちになり、手を握り返すと、安堂くんは少しだけ安心したのか、眉間に寄った皺がなくなった。