「陽向。
叶翔くんと、元通りになれて本当に良かったわね……」
「お母さん……」
お母さんは申し訳なさそうな、でも嬉しそうな複雑な表情を浮かべていて。
「お医者様に、陽向の脳に負担を掛けるからって言われたとはいえ、叶翔くんに陽向とのことは全部なかったことにしてくれって言ったのは私だから……。
ずっと考えてた。
そう言うことが正しかったのか。
でも、またふたりが元に戻れて良かったわ……」
……叶翔の日記に書いてあった。
お母さんから、記憶を取り戻すようなことはしないでくれって、言われたって。
それはつまり、付き合ってたという事実をすべて無かったことにするということで。
それは、とても悲しいこと。
でもきっと、お母さんもずっと悩んでた。
心配性で、ナイーブなお母さんだからこそ、いっぱい考えて出した答えだって、分かってるから……。
叶翔だって、分かってくれてるよ、ちゃんと。
だって、叶翔だもん。