【完】好きになれよ、俺のこと。



「……陽向ちゃんはね、交通事故の時に頭を打った衝撃で、記憶を失ったの。

叶翔のこと、全部。

出会ったことも付き合っていたことも」




「……っ……」






───思い出した……。




叶翔とのデートの待ち合わせ場所に行く途中、私は交通事故に遭ったんだ。




交通事故で失った記憶は、事故直前のことだけじゃない。




何より大切な、あなたとの思い出……。




「その生徒手帳ね、あいつ肌身離さず、胸ポケットに入れて持ってたんだ。

宝物だって……」




「……ふっ……うぅっ……」




大好きだった君への想いが、ぎゅぅっと胸を締め付ける。






こんなにも大好きな君への想いを


こんなにも大切な君との思い出を


私はどうして


忘れてしまっていたんだろう……。






「……これ、あいつの日記なんだけど、読む?」




そう言って差し出された、一冊のノート。




叶翔の……日記……。




私は頷いて受け取り、まだ震える手でノートを開いた───。