【完】好きになれよ、俺のこと。



いつもとは違う真剣で少し熱を帯びた瞳の安堂くんに、なぜだかドクンと心臓が反応した。




速まる鼓動を感じながらも、私はゆっくりと頷いた。




「……俺、やっぱり、ひなちゃんがいないとダメなんだよ。

だから、これからも笑っててほしい。

誰よりも、一番そばで」




「え……?」




「……俺ね、

ずっとひなちゃんのことが……」




安堂くんがそう言いかけた、その時。




バックから、ことりと何かが落ちた音がした。




思わず目線を落とすと、バックに入っていたはずのうさぎのキーホルダーが、ころころと道路を転がっていくのが見えた。




あっ……。




「ごめん、安堂くん。

キーホルダー取ってくる…!」




───あの時、キーホルダーを追いかけなかったら、あんなことは起こらなかったのかな……。