【完】好きになれよ、俺のこと。









いつの間にかもう10月。




寒がりな私にとっては、もうマフラーが手放せない季節になった。




安堂くんとは、相変わらず顔を合わせない日々が続いている。




会いに行こうと思わなかったら、こんなにも会えないものだったんだって、今更になって悟る。




だけど、今日ふと、集会で後ろ姿を見かけた。




キャラメル色の髪と、着崩した制服、すらっとした立ち姿ですぐに分かった。




今すぐにでも近づきたい。


笑顔が見たい。




不意打ちで見つけたからか、張っていた気持ちが弛んで一瞬そう思ってしまったけど、私はそれらを抑えこむように視線を逸らした。




まだね、君のことを見るのが怖いんだ───。




……毎日、ただ時間が過ぎてる。




安堂くんと出会わなければ、こんな生活が当たり前だったはずなのに、安堂くんという存在を知ってしまった私は、ただ虚しさを感じることしかできなくて。