「逸らしてないよ……」
「じゃあなんで今も俺の目、見ようとしねぇの?」
「……っ」
「……俺のこと、嫌いになった?」
ガランとした廊下に響き渡る、安堂くんの切ないような、悲しそうな声。
違うよ。
そんな訳ない。
むしろ、その反対だよ……。
だけど、この気持ちを伝えたら安堂くんに迷惑だって、気づいてしまったの。
だって、安堂くんには彼女さんがいるんだもん……。
〝友達〟だから、安堂くんは私に気を遣って一緒にいてくれたんだろうけど、本当は私なんかより彼女さんのそばにいたいはず……。
〝友達〟
そんな都合のいい関係で、安堂くんの隣にいて、安堂くんの幸せを奪いたくはないの。
だから
この気持ちは、忘れなくちゃいけない。
たとえ、嘘をついたとしても───……。
「……嫌いです」


