「なんで私、あの横断歩道を歩いてたんだろう……」
私が歩いていた横断歩道の周りに見えたのは、見たこともない町並みだった。
なんで……?
だけど、思い出そうとした時、ズキンッと頭に走る強烈な痛み。
「痛っ……」
あまりの痛みに頭を抑えると、お母さんが慌てて私の手を掴んだ。
「陽向!
思い出さなくていいわ…!
無理に思い出そうとすると、陽向の脳に負担が掛かるのよ…!」
「お母さん……」
お母さんったら、まったく相変らず心配性なんだから……。
私は、震えるお母さんの手に、そっと手を重ねた。
「大丈夫、心配しないで!
無理に思い出そうとしないから、ね?」