ときどきとげ。

ーガラッ。


新しいクラスの扉が開いた。


騒めく教室。


自己紹介が苦手で今にも意識が飛びそう。


私が扉の前で立ち止まっていると…


?:【そこ、邪魔なんだけど。】


驚いて振り向く私。


そこには薄茶髪の男子がいた。


?:【ねぇ、あんた聞いてんの。ここ扉の前、邪魔。】


ハッと我に返った。


くるみ:【あ、ごめんなさい。】


すぐに退いた。


早川:【おい、庄汰。そんな言い方ないだろ】


庄汰:【突っ立ってんのが悪いんだよ。】

そう言うと彼は教室の中に消えた。


わぁぁ、苦手な人を初日から見つけちゃったよ。


早川:【ごめん、あいつには後で僕から言っておくよ。】


くるみ:【いや、大丈夫ですよ!私が悪いんで。】


その後、私は何とか苦手な自己紹介を手短に終えて席に着いた。


くるみ:【はぁ。】


疲れた。

私は心の中でそう言いながら、机に頭をすくめた。


早川:【吉田さ…いや、くーるみちゃん】



・・・っえ?!


ガバッと起き上がる私。


早川:【あ、いや…そんなに驚かないで。
吉田さんだと何だか距離があるでしょ?だから…くるみちゃんで…嫌?】


私はぶんぶんと頭を横に振った。


早川:【はは、あ、僕の事は塁斗でいいよ!】


くるみ:【る、塁斗くん!】


早川:【塁斗でいいのに。笑】


くるみ:【そ、そんな!塁斗くんで!笑】



塁斗:【くるみちゃん、疲れたでしょ。】


くるみ:【いや、全然!】


…本当はすごく疲れてますが。


塁斗:【本当に?じゃあさ!学校の中、案内してあげるよ!】


くるみ:【っえ、いいんですか?】


塁斗:【もちろん!】