ときどきとげ。

窓から生暖かい風を受けながら、車に揺られる私。

……。


…少し眠い。

【…ねぇ、くるみってば!聞いてるの?】


お母さんが呼ぶ。


雑音。


くるみ:【きいてるよ。】


母:【なら早く返事しなさい。】


くるみ:【はーい。】


母:【もうすぐ着くみたいだから、鞄持って準備して!】


…あぁ、嫌だなぁ。


車が止まる。


そこは、知らない学校の前。


そう、転校初日というもの。


いわゆる私、吉田くるみは転校生。


…はぁ、しかも高校二年生で転校するなんて。


最悪だ。

父:【ほら、くるみ!今日からここがお前の新しい高校だぞー。】


…嬉しくないよ。


…親友とも離れ離れ。


母:【ほら、早く!】


くるみ:【・・・】


私は何も言わずに鞄を持って車を降りた。