俺はすぐに彼女を追いかけて呼び止めた。



足を止めた彼女の名前を呟く。




「ひよ…」




「百河くんはさぁ、なんで私に構うの?やめてよ。」




声が震えていた。




「そんなこというなよ。俺なんかした?だったら…




「謝ってほしいわけじゃないから」




再び歩きだした彼女の腕を俺はとっさに掴んだ。




「じゃあなに?言ってくんなきゃわかんねぇよ。」




そう言ったものの、

今にもこぼれそうなほど、目に涙を溜めて俺を見上げる彼女に、

それ以上なにも言えなかった。



ゆっくりと彼女の腕を離した。






しばらくその場に立ち尽くした。



あんな顔見せられたら余計ほっとけねぇよ。



でも…今の俺に何ができる?



考えがまとまらないうちに、




早退する。




と言って学校を抜け出した。