中央パーク。



オシャレな若者が集う場所。



俺はよく来るけど彼女はきっとあまり来たことないはずだから。



この表情を見てる限りでは。



でもすぐに嬉しそうな表情が一変して、怒ったように俺の足をとめさせた。




「ねぇ、待ってよ百河くん!」




「翔。」




かみ合わない会話。



また彼女が同じトーンで話しだす。




「なんで中央パークにあたしなんか…




「あの、ちょ〜っとお時間頂いてもよろしいですか〜?ワタクシこういう者なんですけど。」




ナイスタイミング!



ちょっと不機嫌な彼女の言葉を遮って、俺たちに話しかけてきたのは雑誌の編集者だった。




「今ですね、“Jack Jack”という雑誌に載せる写真取らせてもらってるんだけども、お願いしてもいいですかね?」




「いや、私は…




「ぜひ!綺麗に撮ってくださいね!」




待ってましたと言わんばかりの笑顔で対応する。





“Jack Jack ”とは若者の女性向けの雑誌で、街で見かけた人の写真を載せるコーナーがある。



これに載れば、変えられる。


きっと。




「ひよが可愛くて目にとまったんだよ。」




その言葉に少し俯き、ほんのりピンク色のほほに変わる。




「じゃあ撮りますよ〜。彼氏さん、もーちょっと寄ってもらえます?」




「はい」




彼女の肩と俺の腕が当たるくらい近づいた。



体越しに緊張しているのがわかる。



それが可笑しくて口もとが緩む。



そんなこと考えてる間に撮影は終わった。




「はい!お疲れ様です、ありがとうございました〜。

この写真は来月の雑誌に掲載されますので!」




少しの間にいろんな事がありすぎて疲れているような様子だった彼女に、




「来月の雑誌買わなきゃな!ひよ!」




「百河くん、だからひよって




「翔!」